今年のブラック・ホワイトデー
ねぇ、年々ゆるくなってないですか。
何って…そんなんバレンタインデーの話に決まってるじゃないですか。
猫も杓子もチョコチョコ&チョコ
女上司からチョコ、同期からチョコ、友達からチョコ。
今や喫茶店でもサービスチョコが出てくるような始末。
買い物に行けばホワイトデーコーナーが山のようで今にも崩れてきそうだ。
チョコ好きすぎだろみんな。チョコレート会社に貢ぎすぎだろう。
チョコ会社にお返しのチョコをもらいたいくらいだ。
ゆるくなって何が困るって、
3倍返しの慣習があるせいで毎年大変なんです。名古屋人は見栄っ張りですから。
女上司のやけにお高そうなお酒入りのチョコとかさ!
お返しはいいよとか言うけどそういうわけにもいかんだろうが!
チョコレートという大砲を先に撃ったのはそっちなんだからな!
開戦だよ!!俺が返すまで終わらないだろうが!!
チロルチョコとかはさ!
手垢の付いたジョークで、まぁいいけどさ!
倍の値段のロイズのチロルチョコを返せばいいんだろ!(安直)
そして今年一番もらって困ったのは「クランキー二枚」
二枚ってなんだよ!二枚ってなんだ!!
たしかにクランキー大好物でよく食べるよ!!
けどさ、なんで二枚なんだよ!!
なんで二枚買っちゃったんだよ!!
一枚じゃ駄目なんですか!!なんで二枚なんですか!!
知り合いの会社はやっと社内でのチョコのやり取り禁止になったそうだよ。
うちもそうしてよ!
ハァ、ハァ…
そう。そんでさ、そんなバレンタインが開戦してホワイトデー準備の最中にね、
実家に本を取りに行ったら幼馴染のSちゃんのお母さんが来てたんだ。
何年ぶりだろうね~。
Sちゃんはコノ間入籍されたと聞いたのでね。
おめでとうございますおめでとうございますと。
祝辞を述べてさぁ失礼しますよっとしたんですが引き止められて。
アンタもちょっと座りなさいよ、と。恐怖のお茶会に参加ですよ。
Sちゃんとは幼稚園の頃からの付き合い。一緒の幼稚園、一緒の習い事…。
近所に男の子の友達が住んでなかったから、一緒によく遊んだっけ。
僕が3歳の頃から知ってるわけで、まぁずけずけと話してくるよね。
あの頃は~つって懐かしい話を。
話によればよくある話だけど親同士で仲が良かったのもあって、
Sちゃんと僕の仲を応援してくれてたそうなんですよ。
たしかに娘がどこで拾ってきたのかよく分からん男を連れてくるよりは、小さい頃から知ってる男の方がいいのかもしれんが。親心っていうのも難しいね。
それで話が終わればよかったんだけど、次第にヘイトがこっちに向いてきて。
というのもSちゃんには幼稚園の頃から小学校3年生の頃までずっと手作りチョコ貰ってたんですよね。
そんで中学生になって同じクラスになった時かな。
「ずっと好きで渡してたんだけど気付いてた?」って言われて。ポカーンでしたね。
ラブコメ漫画だったらここから何かが芽生えると思うんですけど、まぁそんなこともなく。
「俺、ずーーっと義理チョコだと思ってたわ。親同士仲が良いからなぁみたいな。あっはっは!」
そんな返事をしたかな?今考えてもデリカシーの欠片もないなー!あっはっは!
で、女性ってそういう話って大抵共有されてるじゃないですか。
早いとその日の夕方にはもう共有されてたりするじゃないですか。怖いですよね。
この「義理チョコだと思ってた」件も例外じゃなかったようで、
蒸し返して責めてくるんですよ。
あいお、あんたはひどい奴だ、ひどい男だ!!女心を考えろ!!と。
なんでSちゃんの親と僕の親が十数年前の事を責めてくるんですか。
男には思い出すだけで死にたくなるような恥ずかしい思い出が一つや二つ…
まぁ、沢山あるでしょうが!蒸し返すんじゃないよ!
なんですかこの地獄のお茶会は!カカオだ…!じゃない!カオスだ!!
まぁたしかに僕が悪かったと思いますよ。僕が悪いですよ。
でもさ!でもね!
だって!そもそもね!
何故Sちゃんの乙女心に気付けなかったのかというと!
義理チョコが!
友チョコが!
ホモチョコが!
無ければこんなことにはならなかったんだと!!
おかん二人からうじゃうじゃ言われることもなかったんだと!
声を大にして言いたいわけです。
このままね、
ゆるゆるのバレンタインデーが横行しているようでは僕のような人が減りゃしませんよ。
昔のお姉さんに聞いたところによると、昔、ほんとに昔
バレンタインのイベントが広まった頃には「本命チョコ」しかなかったそうだよ。
いい、時代だったんだな。
本命の相手に1つ渡すだけ。素敵じゃないですか。
気持ちに素直になれるというか、逃げ道がないというか、潔いというか。
覚悟もいります。その分ピュアでいいじゃないですか。
これからは不幸な人が生まれることの無いよう、
本命チョコ1つしかない世界になるといいですね。
そうすればクランキー「二枚」に困惑することもなくなりますからね。